例えば、「こういう状態がバランスのとれている状態である」といくら説明を受けても、実際にバランスをとる方法・原則を体得している者にしか、バランスのとれた姿勢の真実はわかり得ないものなのです。
また、バランスのとれた状態の型はこういうものだと見せてもらっても、自分でその型を繰り返し行って、体得できるまではわかり得るものではありません。
しかし初期の私は、この教え方がまことの教え方であり、学び方であるということを知らなかったので、わからん教え方だとなげいたり、自分の求めていることに答えてくれないと不満や抵抗すら感じていました。
インドのヨガ道場では、弟子が質問したことに対してヒントを与えていただいた場合には、その本義を自分で体得するまでは、次の質問をすることを許さない規則になっていました。
ですから一旦質問をした以上は、自分がそのことの悟りを体得するまでは、その研究を止めるわけにはゆかないのです。
もし止めるのなら退場しなくてはならないのです。
しかしいくら考えてもわからないことでした。
私の求道のもがきを見かねたのでしょうか、兄弟子が「お前があまりにも一生懸命に求めているし、外人だから、特別にバランス体得法を教えてあげよう。綱渡りをやってみなさい。」と言いました。
もし、あなた方が、バランスのとれている姿勢とはこういうものだと、体得したかったら、綱渡りをやってごらんなさい。
なるほどバランスがとれていれば、落ちないという心理を体得することができます。
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