倒産の危険があるから、企業は努力し創意工夫する。
倒産は必ずしも悪いことではない。
企業が倒産しないのは非効率を生む。
目次
効率が劣る社会主義
20世紀は、ある意味で社会主義国家の世紀でした。
最初の社会主義国であるソビエト連邦が成立したのは20世紀初めの事でした。
それから数十年かけて徐々に数を増やし、最盛期には世界の人口の何割かが社会主義国に住んでいました。
しかし、社会主義国の多くは、20世紀の終わりに相次いで崩壊して資本主義に転換しました。
その原因はいくつか考えられますが、資本主義経済に比べて社会主義経済は効率が劣ることが大きく効いていたことは間違いありません。
資本主義では基本的に誰もが自由に経済活動ができます。
どこかにビジネスチャンスが転がっていないか、たくさんの人が鵜の目鷹の目で探しています。
誰かの創意工夫で新しい商品やサービスがどんどん生まれてきます。
それが経済成長につながるのです。
ところが社会主義は計画経済で、例えば国内で何をどれだけ生産するかは中央政府が決めて、それぞれの工場に割り当てます。
だから国営企業では経営者も従業員も自分であれこれ工夫することができないのです。
真剣に働かないだけならまだしも、、どうせ国営企業は倒産しないからと放漫経営になることが多いのです。
資本主義では、常に効率を考えて経営をしないと競争に負けて倒産してしまいます。
企業が倒産したら経営者や従業員は失業するし、株主が持っている株は紙くずになる。
おまけにその企業に融資をしていた銀行や、売掛金を回収しそびれた取引先は大損してしますから、大勢が困ったことになります。
しかし、倒産は悪いことばかりではありません。
倒産があることで企業の新陳代謝が進み、経済が活性化するのです。
倒産は悪ではない。
21世紀に生き残った社会主義国の中国やベトナムは、経済では資本主義的な制度を採り入れることによって改革を図っています。
そこで真っ先に取り掛かったことのひとつが、国営企業が倒産できるための法制度を整えることです。
企業の倒産というのは自然現象ではなく法律上の事態なので「こうなったら倒産ですよ」と法律に定めていないと倒産できないのです。
その定めが無いと、国営企業はどうなに莫大な借金を背負っても決して倒産することはできないのです。
あたかもゾンビのようなものなのです。
ビジネスが立ち行かなくなった企業が倒産すれば、その企業の借金は清算されます。
いくらか残った資産を権利のある人に分配してしまえば、残りの借金からは解放されるのです。
経営者や従業員も再出発できます。
またお金を貸していた側も、返済のあてがない以上は、さっさと損金として会計処理できた方がいいです。
ちなみに日本では地方自治体には倒産の定めがないので、負債を抱えた自治体は何十年かかっても返していかなくてはならないのです。
自己責任といえ、これからその自治体に生まれてくる子供たちには全く責任が無いのに、借金を背負わすのは酷というものです。
企業と同じように清算して再出発できる制度を作るべきではないでしょうか。
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