最低賃金が上がると解雇される人がいます。
つまり、失業率が高くなります。
最低賃金は高い方がいいというのは素朴すぎます。
目次
最低賃金が上がると失業者が増える理由
日本では法律に基づき、おおむね都道府県ごとに「最低賃金」が決められていて、人を雇う場合は最低賃金以上の賃金を支払わなければ違反となります。
平成30年度の最低賃金は、最も高い東京が985円です。
安いのは東北や九州などのいくつかの県で、時給780円台です。
全国の加重平均は874円です。
素朴な感覚として、最低賃金が高ければ高いほど労働者にとって得であると感じられるかもしれません。
賃金が低いのはケチな経営者が出し惜しみしているからで、最低賃金を引き上げれば労働者の収入が増えて景気も上向くように思われがちです。
しかし、残念ながら、そう単純にはいかないのです。
一般に、簡単で誰もができる仕事の賃金は低くなります。
経営者がケチなせいもあるかもしれませんが、その仕事への需要と供給の関係で仕方ないのです。
ある会社に「時給800円なら払えるが、時給900円では赤字になる」という仕事があったとしましょう。
最低賃金が800円なら経営者は新人を募集して雇おうとするが、最低賃金が900円になったら募集しないでしょう。
最低賃金が高くなるほど「この仕事にそこまでは払えない」という仕事が増えるのです。
そのために社会全体としては失業者が増えてしまう結果となるのです。
もちろん、生活を維持するために最低限必要な収入のレベルはあります。
それは最低賃金の引き上げでは必ずしも達成できません。
生活保護など別の手立てが必要なのです。
解雇しにくいと雇用が減る
似たような問題ですが、労働者を保護するために、法律で労働者の解雇要件を厳しくして、よほどのことが無い限り労働者を解雇できなくしたとしたら、失業者は減ると思われるかもしれません。
しかし、それも間違いです。
企業には業績の良い時もあれば悪い時もあります。
業績が良くなると人をもっと雇ってもっと稼ごうということになります。
しかし、そのあとで業績が悪化した時に困ってしまうのです。
仕事は無いのに従業員には給料を支払い続けなくてはならないからです。
だから労働者の解雇要件が厳しいと、たとえ業績が良くて労働者を増やす余裕がある時でも経営者は新規に従業員を雇おうとしないのです。
今すでに働いている労働者はハッピーですが、景気が良くて経済が発展しようという時に新規の雇用が無いと景気拡大にブレーキがかかってしまうし、何よりこれから社会に出て働こうという若者の働き口が狭まってしまします。
実際にフランスでは正規の労働者の権利が非常に強いので、経営者はなかなか新規に雇おうとしません。
そのしわ寄せをくらっているのは若者です。
フランスは若者の失業率が大変高く、深刻な社会問題になっています。
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