流通が何段階もあるからといって価格が高くなるとは限らない。
問屋があることで中小メーカーや小売店が競争に参加できる。
目次
独占・寡占を防ぐ役割
日本の流通業界は、アメリカなどに比べて複雑に入り組んでいます。
例えば、アメリカではメーカーと小売店が直接取引をするが、日本ではメーカーと小売店との間に問屋が介在することが多い。
問屋も一時問屋、二次問屋・・・・・・と多段階にわたることもあります。
そのために商品が割高になることも無いとは言えません。
ただし、流通が何段階もあるからといって、必ず価格が高くなるとは限らないのです。
要は効率性の問題なのです。
メーカーから小売店まで商品を選ぶことはどうしても必要であって、誰かがそれを担う必要があるのです。
大企業のメーカーなら自前で全国に商品を届ける物流網を構築できるかもしれないが、中小のメーカーでは難しい。
そもそもモノを作るのが仕事のメーカーが流通もうまくできるとは限りません。
メーカーと小売店の直接取引しか方法がなければ、中小のメーカーや小売店は商売を成り立たせること自体が厳しいということになります。
しかし、問屋があれば、全国の中小メーカーと小売店をつなぐことができます。
これは大手のメーカーや小売店への競争圧力にもつながるので、大手のメーカーや小売店が市場を独占したり寡占したりする状態を防止できるのです。
小売の新規参入を容易に
直接的な競争圧力の他に、潜在的な圧力もあります。
アメリカの地方では、大規模な小売店が出店して、圧倒的な安値で販売することで地元の伝統的な小売業者を駆逐してしまうことがあります。
そしてその後に価格を上げる掛かるのです。
もはや地元に競争相手は無く、独占に近い形で商売ができてしまいます。
ならばと新規参入してもっと安い価格で売ろうとしても、メーカーと直接取引できるだけの規模がある小売店でなければなかなかかんなんです。
一方で日本では問屋が発達しているので、小売店の新規参入は比較的容易です。
いくつかの問屋に話をつければ商売が始められるからです。
問屋があると既存の小売店は潜在的な競争にさらされることになります。
いま競争相手がいないからといって、容易に高く売ることはできないのだ。
何十年も前から日本の流通は遅れているとか暗黒大陸だとか批判されてきたが、問屋制度はしっかりと生き残っています。
見えないところで効用があるおかげかもしれません。
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