「利用者からお金を取らない施設を、税金を使って作る」というのが公共事業の定義です。
目次
税金を使って、「公共財」を作るのが公共事業
経済学では、世の中で経済活動を行っている主体として「家計」「企業」そして「政府」を考えます。
家計は労働して収入を得て、、財(モノ)やサービスを買います。
企業は資金を調達して労働者を雇って財やサービスを生産します。
政府も労働者(公務員)を雇ったり財やサービスを買ったりしますが、他に政府にしかできない経済活動がありあります。
それは税金を取り立てることです。
政府とは国民から税金を取り立ててそれを使う存在だと言えます。
政府は「公共のため」に税金を集めてそれを使うというのが建前です。
それには二種類あります。
形のある「公共財」を作ることと、形のない「公共サービス」を提供することです。
一般には、公共財を作ることを「公共事業」と言います。
公共財とは、具体的には道路や橋、、港湾や公園など、公共のために使われるモノを指すと考えればだいたいはあっていますが、もう少し厳密に考えてみましょう。
確かに公園はみんなが憩う場所であるということで、公共的な施設です。
でもみんなが行こう場所は公園だけではありません。
東京ディズニーランドなどの遊園地にも、やはり大勢の人が楽しみを求めてやってきます。
しかし、東京ディズニーランドは公共施設とは言いません。
違いは東京ディズニーランドが利用者からお金を取るところにあります。
東京ディズニーランドのようなところで遊べるならお金を払ってもいいという需要があれば、それで採算がとれると思う企業がそれを供給します。
このように企業や家計の間でお金が取引されるモノを経済学で「私的財」といいます。
公共財やサービスは利用者からお金を取らない
逆に、消費者や利用者からお金を取れないモノについては、民間企業は供給できません。
例えば、一般の道路がそうです。
狭い道路も含め、あらゆる道路を通行している自動車や歩行者から料金を取ることは不可能です。
ですから、企業から私的財として供給されることもないのです。
でも道路が無いと不便なので、政府が税金として市民から費用を集めて公共財として供給することになります。
公共サービスも同じことです。
例えば軍隊はそのサービスに対してお金を払っている人だけに絞ってサービスを供給することはできません。
外国と戦争になって、、外国の軍隊が自国に攻め入ってきたときに、自国の軍隊がいちいち「この家は料金を払っているから守る、あの家は払っていないから守らない」とはいかないのです。
警察や消防も同様です。
経済学でいう純粋な公共財や公共サービスとは、利用者からお金を取ることができなくて、また誰かが利用しているからといって他の誰かが利用できないということはないモノやサービスを示します。
例えば、日本の高速道路は利用者から料金を取るので、厳密な意味での公共財ではないと言えます。
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