目次
GDPでわかること
経済学では基本的に、経済活動(お金のやりとり)が増えることが豊かになることだと考えます。
国の豊かさの指標として、一般的に使われるのはGDP(国内総生産)です。
GDPとは国内で生み出された価値の合計だが、集計されるのは、お金の出入りのあったものだけです。
果たしてGDPは、本当に豊かさを示していると言えるのでしょうか?
経済学の世界では、あるよく知られた寓話があります。
隣り合った二つの国、A国とB国の人口は同じくらいでGDPも似たり寄ったりでした。
またどちらの国にも蚊がいなくて、夏の夜に悩まされることはありませんでした。
ところがある年、A国政府は外国から蚊を輸入して国中にばらまいたのです。
するとA国の国民はたまらず蚊取り線香を買いに走りました。
おかげでA国には蚊取り線香産業が繁栄し、GDPはB国をはるかにしのぐようになりました。
され、現在のA国の国民とB国の国民はどちらが豊かな生活をしているのでしょうか?
こんな話もあります。
南国の島の海辺で、現地の人が昼からのんびり昼寝をしていました。
よその国から来た金持ち観光客がそれを見て
「休んでないでもっと働くべきだ」といった。
現地の人は「どうして働かなくてはいけないんだい?」と尋ねた。
「働けばお金が手に入るぞ」と、明るく答える金持ち観光客でしたが
現地の人はすかさず「お金が入るとどうなる?」と尋ね返しました。
「そしたら私みたいに休暇を取って南国にバカンスに来れるのさ。」
すると現地の人は
「なんだ、それなら今の生活と同じだ」と笑ったそうです。
経済的な豊かさが生活の豊かさとは限らない
寓話ではなく現実の話としては、たとえば自転車が故障した時に
自分で直せば付加価値はゼロなのでGDPにはカウントされないが
自転車屋に持ち込んでお金を払って直してもらえばGDPを押し上げる。
古い服を大事に着てもGDPには関係ないが
古い服をどんどん捨てて新しいのを買えば経済は成長する。
悩み事がある時に相談に乗ってもらえる友達がいるのと
友達がいなくて有料のカウンセラーに通うのと
どちらの生活が豊かだろうか。
何でもお金で解決する国の方がGDPが高くなるが
だからといってその国の生活が豊かだとは限りません。
コメントを残す