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何が輸出されるのか?
国家間の自由貿易は、基本的には両国にとって有益だというのが経済学に定説です。
その理由を考えてみましょう。
例えば、世界にA国とB国の二つしか国がなく、両国とも産業は鉛筆産業と消しゴム産業の二つしかなく、二国間で貿易される商品も鉛筆と消しゴムしかないと仮定します。
A国では鉛筆が40円で消しゴムが120円、B国では鉛筆が50円で消しゴムが100円だとします。
両国間で貿易が行われれば(輸送費などは考えないとして)、商品は安い国から高い国へと輸出されるので、鉛筆はA国からB国へ輸出され、消しゴムはB国からA国へ輸出されるはずです。
両国の消費者とも、貿易を始める前に比べて、よりハッピーになるでしょう。
では、A国では鉛筆が30円で消しゴムが90円、B国では鉛筆が50円で消しゴムが100円の場合はどうでしょうか。
鉛筆も消しゴムも、A国の方が安いです。
こういう場合は鉛筆も消しゴムもA国からB国へ輸出されて、B国の労働者は仕事が無くなってみな失業してしまうのでしょうか?
そんなことにはならない、というのが経済学の考えです。
相対的な効率性を考える
比較生産費という考え方があります。
A国で鉛筆と消しゴムの価格を比べると、30対90=1対3です。
B国では、50対100=1対2です。
消しゴムはA国では鉛筆の3倍の価格が付くが、B国では2倍にとどまっています。
A国ではB国に比べて相対的に消しゴムの価格が高いといえます。
言い換えれば、相対的に鉛筆が安く作れるのです。
その裏返しで、B国ではA国に比べて相対的に鉛筆の価値が高く、消しゴムが安く作れます。
こういう場合はA国は鉛筆だけを生産し、B国は消しゴムかけを生産します。
そしてお互いに貿易をすれば、両国民とも貿易をしない場合よりも豊かになることができるというわけです。
絶対的な得手不得手ではなく、相対的な得手不得手をもとに国際分業をして自由貿易をすれば双方の利益になる、という考えを比較生産費説といいます。
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