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円を買いたい人が減れば円安になる
アメリカに旅行に行っても持ち帰ったドル紙幣を円に両替したことがある人も多いでしょう。
「ドルを円に両替する」とは、言葉を換えれば「ドルで円を買う」ことです。
モノの値段と同じで、円の値段も需要と供給の関係で上下しています。
円を買おうとする人が増えれば円高になり、逆に円を買おうとする人が減れば円安になります。
では、円を買うのはだれかというと、ひとつは貿易関係の企業です。
日本の自動車メーカーが自動車をアメリカに輸出すると、その代金はドルで受け取ることになります。
しかし当然、日本の従業員の給料は円で支払わなければならないし、日本国内の部品メーカーへの支払いにも円が必要です。
そこで各国の通貨を売買する「外国為替市場」で、自動車代金のドルを売って円を買うことになります。
だから、日本から外国への輸出が増えれば、円を買う企業が増えて円が高くなる傾向があります。
ここで注意しなくてはならないのが数字の見方です。
「1ドルが100円から120円になった」と新聞で書かれていたり、ニュースで聞いたりすると、あなたは「数字が大きくなったので円高になった」と捉えたりしていないでしょうか。
しかし、そうではなくて、実はこれは円安の状態なのです。
例えば昨日まで1ドルでアメが100個しか買えなかったのが、今日は120個も買えるようになったら、このアメは「値下がりした」ということになります。
それと同じことで、1ドルで100円しか買えなかったのが、120円も買えるようになったら、円が値下がりしたことになります。
金利差と物価上昇率が影響する
貿易関係の需要と供給以外にも円相場に影響を与える要因があります。
ひとつは各国の金利差です。
お金を運用しようとする企業や人にとっては、金利が高い国で運用した方が得なので、金利の高い国の通貨は高くなります。
もうひとう、各国の物価上昇率も影響します。
物価が上昇しているインフレの国の通貨を持っていると、その通貨はどんどん目減りして損をします。
だからインフレの国の通貨は売られて安くなりやすいのです。
2012年には1ドル80円くらいの円高でしたが、2013年から日本銀行が「異次元」と名付けるほどの強力な金融緩和を始めました。
つまり金利を引き下げたのです。
2016年にはさらに進んで銀行が日銀に預けるお金の一部にマイナス金利をつけるようになりました。
その影響か、近年は1ドル100円を超えて安くなっています。
円安が得かどうかは立場によります。
基本的に、円安で喜ぶのは輸出企業です。
1ドル80円の円高の時には、アメリカに輸出して儲けた1ドルが円にすると80円にしかならなかったのが、1ドル120円の円安になると1ドルの儲けが120円になります。
あるいは、ドル建ての価格を値下げしてたくさん輸出することもできます。
外国から見ると日本の物価が安く感じられるので日本への外国人旅行客が増えます。
するとホテルなどの小売業者が潤います。
その一方で、円安でつらい思いをするのは輸入関係者です。
円が安くなると、逆にドルの仕入れ値が高くなってしまうからです。
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