デフレが引き起こす悪循環
デフレになると企業は経営が苦しくなって人減らしを始め、失業者が増加してしまう。
目次
デフレは静かに経済をむしばむ
物価が全般的に上昇している状態をインフレーション(インフレ)、下降している状態をデフレーション(デフレ)と言います。
年配の日本人は、敗戦直後や石油危機の時のインフレを覚えているでしょう。
1980年代後半のバブル経済の時は土地や株価などはモノの値段はあまり変化がなかった。
そしてバブルが去った1990年代半ばあたりからずっと、日本はデフレ傾向にあります。
インフレとデフレのどちらが経済にとって好ましいでしょうか?
インフレを経験した人は「二度とごめんだ」と感じている人が多いです。
確かに、モノの値段がみるみるうちに上がっていくと、貯めたお金の価値がどんどん目減りしていくので、将来への不安に駆られてしまうでしょう。
それに比べてデフレは「物価が下がるのだから結構なことではないか」と思う人が少なくないようです。
しかし、「インフレは陽気な悪魔、デフレは陰気な悪魔」と言われるように、デフレは派手ではないが静かに経済をむしばんで行きます。
景気の悪循環
労働者の賃金はデフレになってもしばらくは下がらないのが普通です。
なぜなら、賃金が下がることには労働者が抵抗するので、経営者がなかなかそれを押し切れないからです。
物価が下がるのに賃金が下がらないということは、実質的には賃金は上昇していることになりますので、最初のうちは労働者は嬉しい思いをするかもしれません。
しかし、たいていの企業は銀行からお金を借りて事業をしていますが、その金利はデフレだからといって簡単に切り下げてはもらえません。
企業が持っている土地の価格もデフレで目減りしていきます。
企業は、自社製品の価格が下がっていくのに、賃金も借金の金利も下げられず、経営が苦しくなります。
そこで企業は、あの手この手で人を減らします。
社員を辞めさせる、いわゆる「リストラ」に走ったり、新入社員の採用を抑制したりします。
その結果、失業者が増えます。
金利を考えるときには、名目金利ではなく実質金利で考える方がいいです。
名目金利とは表示されている金利そのままです。
銀行の店舗に預金金利が年率3%と書かれていたら、あるいは借金の証文に金利が5%と書かれていたらそれが名目金利です。
実質金利は名目金利からインフレ率(物価上昇率)を引いたものです。
預金金利が3%でもインフレ率が2%なら差し引き1%が実質金利です。
名目金利が低くても、デフレで物価が下がると実質金利は高くなります。
だから銀行から借金をしている企業はできるだけ借金を返そうとします。
その結果、工場を建てたり新製品を開発したりという、景気を上向かせることにお金が回せなくなります。
失業者が増え、投資が行われないのでは、お金を使う人がいなくなって、景気はますます悪くなります。
だから、デフレという陰気な悪魔は何とかして退治しなくてはならないのです。
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