安倍首相はアベノミクスの効果を強調するが、国民は実感できているのか?
目次
異次元の金融緩和
2012年の年末に成立した第二次安倍政権は、日本経済の活性化のためにアベノミクスと呼ばれる経済政策を打ち出しました。
中心となるのは「三本の矢」と呼ばれる三つの政策です。
第一の矢
「大胆な金融政策」で、金融緩和によって日本銀行が世の中にお金をどんどん供給する。
第二の矢
「機動的な財政政策」で、公共事業を増やすことで関係する民間企業にお金が渡り、また社会基盤が整備される。
第三の矢
「民間投資を喚起する成長戦略」で、規制緩和によって民間企業や個人が力を振るいやすくする。
これらがあいまって経済が活性化するという筋書きです。
特に注目されるのは第一の矢の金融政策です。
日本銀行は2013年に「異次元の金融緩和」を打ち出した。
市場に対して円をジャブジャブと供給して、デフレ状態の日本を年率2%のインフレにもっていこうとしている。
インフレ率(物価上昇率)に目標を設定する「インフレターゲット」政策だ。
デフレとは通貨の価格が上がってみんながものを買わなくなっている状態だ。
だまっているとどんどん不景気になっていくので、円を世の中に大量に供給して円の価値を上げてみんながお金を使うように仕向けようというわけです。
具体的には、日銀が民間銀行から国債を大量に買い取る。
するとその代金が民間銀行に支払われるので、民間に出回るお金が増えるという目論みです。
バブル崩壊後のにほんでは長年にわたって金融緩和が続けられたが、デフレは克服できなかった。
だから金融政策はあまり効果が無い考える経済学者もいます。
反対に、金融政策が不十分だったからデフレから脱却できなかったのであって、もっと大胆に金融緩和をすればインフレに持っていけると考える学者もいます。
「異次元の金融緩和」は後者の考えによります。
インフレ目標は達成されていない
アベノミクスの効果があったかどうかだが、首相官邸のウェブサイトでは、実質GDPや株価、有効求人倍率などの経済指標が軒並み上昇しているので成果は上がっているとある。
しかし、国民にはそれほど景気が良くなった実感がない。
確かに株価は上昇してきたし、円安が進んで輸出企業は儲かったかもしれないが、賃金は期待したほどは伸びていない。
ドルで計れば日本の賃金はむしろ下がっている。
また、、日本貿易振興機構(ジェトロ)の資料によれば、2007年から2016年までの10年間で、日本の工場労働者の賃金はドル建てで30%近く減っているのです。
当初は2015年の4月に達成するはずだった2%のインフレは達成できず、目標期間は何度も先延ばしにされた。
それでも一向に目途が立っていない。
もともと政府による金融政策や財政政策は景気回復の呼び水であって、民間企業や個人の投資や消費が活発にならなくては景気は上向かない。
国民が将来を楽観してどんどんお金を使うようになる仕掛けがもっと必要だろう。
コメントを残す