「考えない、思い出さないことが大切」
禅でもっとも重要なことは「善も思わず、悪も思わない、考えないこと」がもっとも大事で、そう努めれば自分の本質が自然にわかるということです。
私は禅の本質がここにあると思っています。
私たちがあれこれ考える、この考えるということが「妄想」なのです。
考えないでいれば、「清らかな自分の心」を知ることができるのです。
禅では「念起こる、これ病なり。継がざる、これ薬なり」と言って、何かを思い浮かべることが苦しみのもとであり、浮かんだ思いを、次つぎと継がず、そこで止めるのが薬だとしています。
思い出すということは、心の病気の現われだというのです。
妄想が出るというのが病気なのです。
そして、治療するためには念を発展させない。
そこで止めるということが大切なのです。
本来病気でなければ、念が現れない、思い出さないのですが、病気だから思い出して苦しむのです。
私たち本来の自分の心を知り、その心に従って生きることが大切なのです。
それにはまず、考えない、思い出さないという工夫がもっとも大事で、心の本質を理解する目的もそこにあるのです。
「責めず、比べず、思い出さず、浜松医科大学名誉教授・高田明和」
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