宇宙の三大原理
①諸行無常・・・「今」しかない、あるのは「今」ばかり
では、宇宙が成り立つ根本原理とは何でしょうか。
釈尊はそれには三つの原理があると悟られたのです。
それを「三法印」といいます。
第一は「諸行無常」です。
仏教では「もの」を表す言い方が多くあります。色(しき)もものということです。ものには色があるので、それに着目する言葉です。
「色即是空」を色恋は空しいと解釈する人もいますが、そうではなく、この世のすべてのものは本来実態がなく、空であるという釈尊の悟りの本質を述べた言葉です。
ものには運動という面があります。
それに着目すると行いという言葉になります。
「諸行無常」とはすべての行いがいつも異なるという意味ではなく、この世のすべてのものは常に変化する、一瞬といえども同じではないことを意味します。
これは物理学でも証明されています。
ですから、物質からなる私たち、あるいは、世界は常に変化しているのです。
私たちは過去の自分のつながりが今の自分だと思っているのですが、過去の自分は存在しないのです。
どんどん変化して今の自分があり、これが変化して明日の自分になるのです。
これは子どものことを考えるとよくわかります。
子どもは連続的に生きていません。
どんどん変化し、別の人格になってゆくのです。
ですから、子どもが大きくなると昔と別人のようになり、「子どものころは、あんなよい子だったのに」という嘆きが生まれるのです。
禅でも、「今」しかないという体験をさせようとします。
「即今」、というのが悟りだといいます。
実際には、「過去」もなく、「未来」もないのです。
あるのは「今」ばかりなのです。
「責めず、比べず、思い出さず、浜松医科大学名誉教授・高田明和」
コメントを残す